2010年06月21日

バツにバツをかさねる

子供のころ、住んでいたところは木造のアパートの2階だった。

声は筒抜け、足音は1階に響く。

当然、騒いではいけない、暴れてはいけない、話は小声で、歩く時はそーっと。

うるさい子は、悪い子だった。

それが、幼稚園、学校に入って、逆転する。

おとなしい子はつまんない子。大きい声が出せない子は元気がない子。活発で、大きい声で喋る子は、とっても良い子。

今度は、静かな自分にバツをつけて、元気で快活な子を目指さなければいけない。

家では、相変わらず、静かにしなければいけない。

そうなると、元気な自分にさらにバツをつける。

だんだん、声の出し方がよくわからなくなって、元気にしているつもりでも万歩計が反応しないような歩き方になってた。



家では、自己主張はNGだった。泣くのも、要求するのもバツ。

学校では、発言ができなければいけない。自分の意見を持たなければいけない。自己主張のできない自分にバツをつけて、意見をひねりだして声を出す。

プライベートの付き合いでは、相手を尊重できなければいけない。主張できるようになった自分にバツ。

表現のしかたもどんどん忘れていって、笑う時だから笑い、泣いてもいいから泣き、怒るべき時だから怒り。必死でまわりに合わせて、感情を出さなければいけないから感情があるふりをしていた。

合わせるのに必死で、本当に自分が感じていることなんて、意識にものぼらなかった。



どんどん、身につけたものにバツがついていく。

バツの上にバツをつけて、さらにバツを重ねて、なにがよくて何が悪いのかももうよくわからなくなっていって、それさえもバツになって。

そんなことをずっとしてきた。



笑っていいんだよ、って言われても。

笑わなきゃ、って思った。ああ、ここは、笑うべき時なんだって。

よかれと思ってかけられた言葉でも、バツに変わっていく。

軽くしようと思ってくれたことでも、重荷に変わっていく。

自分でもなぜなのかわからない。

でもそうなってしまう。

苦しいよ。

もうなにも乗せないで。

ただそのままの私でいさせて。

ただ私でいさせて。

立ち止まっていさせて。





バツを無理にはがそうとしなくていいね。

バツはかさぶた。

傷を守るためのかさぶた。

時が来たら、自然にはがれる。

ただ立ち止まっていれば、自然に癒えていくよ。

posted by 蝉ころん at 13:43| Comment(0) | ころんちゃん覚え書き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。