2010年05月11日

望まれていたこと

「男だったらよかったのにねえ」

と、よく言われていた。

私もそう思っていたから、違和感を感じていなかったけど。

この言葉で私は傷ついていたことを知った。

兄があまり実家の家業に対して意欲がなかった頃、特に「あなたが男だったら」と言われた。

あなたが家業をやれば兄には好きなことをさせてやれるのに、と。



小さい頃は、近所の人たちにも兄が女で私は男に見えていたらしい。

母は、よく言っていた。

お兄ちゃんは目がぱっちりして可愛くて、よく女の子に間違われたのよ。

あなたはお下がりばっかり着てたから、男の子に見られてた。

大きい目、まつげが長く、二重で整った顔立ちの兄。

私は一重で、ぱっとしない。

家の中で、私1人だけ一重の目。

ずっとコンプレックスだった。

誰も可愛いなんて言ってくれなかったね。

お母さんは私を可愛いなんて言ってくれなかったね。

私が褒められるのは、お母さんが気に入ったお出かけの服を着た時だけだった。

でもその服は、汚しちゃいけないから、といって私の行動を制限するものだった。

お出かけの服を着ると、私は兄たちと遊ぶことは許されず、お人形でいなくてはいけなかった。



私は私の望んだ生き方をするためには男でなくてはいけなかったし、女であるなら女としての生き方を望まれた。

男ではなくて女に産まれた私には、私としての生き方をすることは許されていなかった。

あの家では。

あの母の元では。

それがとても悲しかったことが出てきた。

女の子の私は望まれていなかった。



ねえ。

可愛いって言って欲しかったよ。

可愛い服を着てるからじゃなくて、ただ私を可愛いと言って欲しかったよ。

一緒に私の思いを叶える方法を探して欲しかったよ。

女ができないことじゃなかったよね。

男でないとダメなんて、そんな仕事じゃなかったよね。

なんでお兄ちゃんを立てるために私はずっと引きずり下ろされ続けなきゃいけなかったの?

私が私として活き活きと生きることがなぜ、お兄ちゃんの邪魔になるの?

私のせいにしないで。

兄が家業を継ぎたがらないことを、兄が私にコンプレックスを感じていることを、私のせいにしないで。

私が私として生きて何が悪いの?

あなたたちの望みを叶えるために私たち兄弟を道具にしないで。



私はずっと知っていた。

私たちが道具にされていることを。

ずっとやめてって思ってた。

私たちの思いをちゃんと見てって。

気付かないし、気付けない人たち。

子供を不幸にしても、全部子供に罪をかぶせる。



なんだかんだいって私には母の思いが残っている。

母ができなかった男としての生き方。

家から出て成功すること。

経済的に自立して生きていくこと。

それがどんなに私の望みの近くにあっても、それはやっぱり枷になっている。

宿題しろ、と言われると宿題したくなくなるのと同じ効果。

私が私の思いで動きたいのに。

余計なこと言うんじゃねーよ。

またそうやって自分の手柄にしようとしてんじゃねーよ。

なんであんたが楽になるために頑張んなきゃいけないんだ。

あんたのために生きてんじゃないんだ。

私は私が生きたいように生きるんだよ!

いいかげん私を手放してくれ!
posted by 蝉ころん at 18:54| Comment(0) | 私を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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